第2章 おそ松たちの奔走
おそ松たちは、まだ帰らないカラ松にやきもきしていた。
「何で帰って来ないんだよ?!もう5日は経ってるぞ?!」
「もしかして、帰るのが嫌とか…?」
「そんなわけ、ないだろ!」
「病院の場所、聞いておけばよかったね」
「この辺りだと、赤塚病院だけどね」
一松の言葉にハッとするおそ松。
「そこだ!!」
5人は駆け出し、病院まで走った。
「すみません。松野カラ松は、何号室ですか?」
「松野カラ松さんですか?少々お待ち下さい」
受付の女性がパソコンで調べる。
「すみません、松野カラ松という方は、こちらにはいらっしゃいませんが…」
「え?!そ、そんな…!!じゃあ、どこに…!!」
「ただ、名前のわからない方なら昨日、退院されましたけど」
「それだ!どこに行ったか、わかりませんか?」
「すみません、そこまでは…」
その場に崩れるおそ松たち。
「どうしよう…。母さんも心配してるのに…」
「名前がわからないってことは、記憶喪失になってるってことだよね」
「カラ松兄さん…。やっぱりあの時、助けに行けばよかった…。なのに俺たち、物を投げて…」
「言うな!とにかくあいつを、なんとしても探し出すんだ!」
「そうだね、おそ松兄さん」
そこへ師長が来た。
「あら?ねえ、あなたたち。あなたたちにそっくり人がいたけど、兄弟?」
「カラ松を知ってるんですか?!」
「ええ。確かにカラ松って名前だったわ。でも、下の名前しか思い出せなかったみたいよ。ひどい状態でね、脳に異常がなかったのが、奇跡的なくらい」
師長の言葉にうつむくおそ松たち。
「カラ松がどこに行ったか、知りませんか?」
「看病していた子が連れて行ったから、その子のところじゃないかしら」
「その人はどこに住んでるんですか?!」
「ごめんなさい。そこまでは知らないの」
5人はがっくりとうなだれた。
「そんな…!」
「あの、その人の名前だけでも教えて下さい!」
「○○っていうの。ちょっと待ってて、写真があったはずよ」
そう言って師長は、○○の戴冠式の時の写真を持ってきた。
「ほら、この子よ」
ナース帽を被って微笑む○○が、そこにいた。
「元々ここのナースだったの。弟さんを事故で亡くしてから辞めてしまったけど、今も立派なナースだわ」