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安土引手茶屋

第3章 石田治部少輔三成の病



「あのぉ~、何の御用でしょうか?」

部屋に呼ばれて来たものの、信長はずっと書簡を読み、放置されたままのが尋ねた

「これが終われば相手をしてやるから待っておれ。」

目も合わさずそう言われた。

しばらくして仕事が片付いたのか信長は立ち上がり、棚から南蛮の酒を持ち出した

グラスに注ぐとに渡した

「ワインですか?いただきます。」

「ほう、やはりお前はこれが何か知っていたか。作り方は分かるか?」

「だいたいなら。葡萄から作りますが収穫期に雨の少ない地方で育てる必要があります。」

っと知っている程度でワインの知識や南蛮貿易についての会話を始めた

表で待機している三成にも二人の声が聞こえた。

何を話しているのか気になって耳を傾けるもやはり内容までは聞き取れない



ワインをおかわりした辺りで信長の様子が変わった

たわいもない 会話をしていたのに突然黙ってをじっと見つめた

不思議に思ったも信長を見つめ返した

すると信長は自分の持っていたワイングラスの中に 指先をピチャンとつけて、の顔の前で 濡れた指先を ピンっと弾いた

ワインの 飛沫(しぶき)があみの顔に当たる


「ちょっと、やめてください」

思わず大きな声を出してしまった

それでも信長はまた同じように ワインを指先に つけてに飛沫を飛ばした

「信長様、おやめください!」

逃げるように体を動かすと隣にあった机にぶつかってしまい書簡が ガラガラと大きな音を立てて下に落ちた

それでも信長は また同じように ワインを指先につけて に飛沫を飛ばした

「嫌です。やめてくださいっ 」

大きな声で 叫んだ瞬間、襖が大きく開いて三成が部屋の中に飛び込んできた

「恐れ入ります信長様。 これ以上のおたわむれはご勘弁願います。 どのようなお叱りも受けますので 今回は失礼させていただきます」

の手を掴んで 逃げ出すように天守を出て行った

「やれやれ、恋に疎い者共は手がかかる」

そう言って信長はニヤっと笑った


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