第3章 石田治部少輔三成の病
翌日、三成は天守に呼ばれ囲碁をしていた
「この勝負、賭けをしないか?」
突然、信長様が言い出した。
囲碁の相手を何度もしたが、賭け事を持ち出されたのは初めてだった
「お前が勝ったら、唐の茶器をやろう。俺が勝ったらお前の大事なモノをもらう。どうだ?」
信長の持つ茶器はどれも名品ばかりだ。
それをくれると聞きビックリした。
しかし自分の大切な物とは何か?
(もしかして最近手にいれた村上水軍の書物の事だろうか?
さすが信長様、情報が早い。
まだ読んで無いけど良いでしょう。)
「かしこまりました。お請け致します。」
半刻が過ぎて勝負が決まった。
僅差で信長様の勝利だ。
「参りました。では私の大事な物、村上水軍の軍書をお譲り致します。」
「ほう、貴様あの毛利家が執着していたあの水軍書を手にいれたのか。さすがだな。それはお前が熟読し俺の役に立たせろ。
今回は別のモノを所望する。
をここに連れて来い。
今宵、夜伽を命じる。」
様………… 夜伽…………!?
気が付くとの部屋の前にいた
どうやって天主を降りて、ここに来たのか覚えていない、
ただ頭が真っ白になった
信長様が様に夜伽……
思わず拳を握りしめてしまう。怒りと後悔が胸を焼き付く
「様、いらっしゃいますか?
……信長様がお呼びです。……天主へ一緒に来て頂けますか?。」
「三成君、どうぞ中に入って。ちょっと待っててね。」
湯上がりなのか、濡れた髪を手拭いで乾かしていた。
火照って赤みをおびた肌から女の色香が漂う
「信長様、何の用だろうね?今度はみんなでボーリングしようっとか言いい出しそうだよねっ」
無邪気に微笑む姿に胸の苦しさが限界に達した。
分かった。これは病ではない……
以前、政宗様から借りた“源氏物語”という本に書かれていた
これは“恋”だ……