第1章 🎴と
彼女の匂いは陽だまりのようなポカポカと暖かい匂いがした。俺は其れが堪らなく好きでよく彼女がいると近くへ行ったものだ。好きだった、彼女の優しさが、優しく俺に微笑む姿が、甘い物が好きで美味しそうに食べる姿に何度癒されたことだろう。でも如何して彼女が血溜まりの中にいるのだろうか。その姿を見た瞬間鬼へと向かっていった。気がつくともう鬼は何処にもいなくてそこにいるのは血に濡れた彼女と鬼の血で真っ赤に染まった俺だった。血がつくなんて気にもせず俺は彼女を抱き上げる。
「なあ、お願いだよ……目を開けてくれ、また俺に笑ってくれよ……なあ!」
如何してだ、如何して俺の大切なものは俺の手からこぼれていくんだ。
嗚呼やっぱり、幸せが壊れる時にはいつも血の匂いがする。