第16章 「春の野花 - タンポポ、イヌガラシ、スカシタゴボウ」
「夢ってなんだ、
いつでも作れただろうが」
『あー、ねえ。
リヴァイの読みどおりあたし
結構街の子だったから。
近所にこんな花畑なんか
あんまりなくって。
ちっちゃい頃に取ってた幼児雑誌に
〝はなかんむりをあんでみましょう〟
って記事が載ってても編む花がないのね。
たまにシロツメクサとか
空き地に生えてても、茎が地面に
蔓延ってるみたいに短くて
編めたもんじゃないのよ。
雑誌に載ってる子は景色が
キレイな田舎でシロツメクサや
レンゲの花かんむり編んでて、
こんなとこならいくらでも
編む花があるんだろうなー
って羨ましかった』
「田舎に遊び行ったりとか
しなかったのか?」
『うーん、
田舎に連れてってもらっても、
そこでどれくらい子供が遊べるか
っていうのは親の都合によるのよ。
レンゲがいっぱい咲いてる
田んぼなんかがあっても
〝はい次はどこ行って何して
その次はどこ行って何して〟って
車に詰め込まれて移動。
なかなか田んぼで一人遊びしてる
ってわけにはいかなかったんだよねー』
「.....ほう、なら」
と呟いたリヴァイが
いたずらっ子のように笑った。