第25章 学校8
ある日の放課後ーーー
「俺、カンニングなんて
しないよ?」
声がした方に視線を向けた美奈子
(……あれ?
琉夏くんと氷室先生だ…)
「それはそうだろう。
”問X”を解いたのはキミだけだ。」
氷室の小テストで”問X”を解いたときき思わず声をかけてしまった。
「えぇ?(ㅇㅁㅇ)!!!!!!!
琉夏くん、解ったの?」
「あ、美奈子」
「ん?」
氷室が美奈子に気づく。
「あ、すみません。
小テストの”問X”って
いつも答案用紙の最後にある、
絶対解けない超難問……」
「絶対に解けない難問などない。
しかし、高校数学の範囲ではないことから点数には反映しないことにしている。」
淡々と応える氷室に対し、琉夏が解いたと聞き驚きと尊敬の眼差しを向ける美奈子
「琉夏くん、すごい……」
「もっと言って♪ 俺、算数得意。」
<( ¯﹀¯ )>えっへん
そんな琉夏たちをよそに氷室は言葉を並べる。
「しかし、
どうにも腑に落ちない点があるーーーー」
氷室がいうには、”問X”に限らず
琉夏の答案用紙には裏面や余白に計算式が全くなく見当たらないとのこと。
「えっ?そうなの?!」
「まあ…ね」
「何の躊躇もなく解が書かれているようにもみえる。………どういうことだ?」
琉夏いわくシャーペンの芯がもったいないからと琉夏らしい応えだ。
ただ、そんな琉夏の応えに氷室は数秒考えたあと琉夏に告げる。
「……なるほどな。よく、わかった。
行って宜しい。」
「そんじゃーー帰ろ。美奈子ちゃん。」
「う、うん。」
歩き出す2人に、いや琉夏に氷室が一言
「そうだ。桜井。」
ん?と氷室に振り返った琉夏。
「シャーペンの芯を使うに値する問題を
すぐに用意しよう。楽しみにしてなさい。」
少し微笑んでいるように見える氷室は、「気をつけて帰るように」と告げ職員室へ向かっていった。