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【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...

第9章 怒りの果ては…


「その能力に関しては海軍の上層部と掛け合う。
今、現在は謹慎処分とする。追って処置を下す。」
『はい…』

ガチャンと外れた手錠は最初につけられた時より重く感じた。結局、みんなあの目をするんだ。

『…ッ……』
「アン…」
『今は1人にして…おじいちゃん…』

おじいちゃんの顔は見なかった。言ったわけがないとはわかっている。でもあんな目を見て冷静でいられるほど私は大人じゃなかった。すまんと部屋を出る時に小さく聞こえた気がした。私は自室に戻らされた。謹慎命令が出ている上、外に常に2人つき見張りと厳重警戒態勢にあった。





「アン少将…食事を持ってきました。」
『結構です。持って帰ってください』
「しかし…」
『1人にしてください…』

少し強く言うと、海兵は食事を持って下がっていった。

海軍でこんな囚われの身になるなんて思わなかった。食事はいつものように運ばれてくるし、仕事もない。ボーッと窓から見える海を見てる。

「アン少将…ガープ中将がお見えです。」
『帰ってくださいと伝えてください。無理やり入ってこれば自害しますとも。誰とも会う気はありません。』
「そうですか。」

おじいちゃんを決して疑っているわけじゃない。きっと海軍の情報収集力の方が優ってしまったんだろう。本来、生きることすら許されない私たちを、おじいちゃんは人から隠し、自身の孫として育ててくれた。

あの憎しみの目は何度も…いままで何度も受けてきた。でも、心が壊れないわけじゃない。傷つかないわけじゃない。私は、何も感じないお人形じゃない。

いつもはエースがいてくれたから。あんな目を向けてきた大人を倒してくれたから。エースが…サボが…

『…助けてくれたから…ッ』

おじいちゃんに恩返しがしたかった。海軍になれば少しでもおじいちゃんのためになるならと思って入隊を決めた。

海軍の掲げる正義…エースが助けてくれたと言う正義。その2つは何が違うんだろう。

『私の正義は…なに…』

思うことがたくさんあり、後悔もドッと押し寄せてくる。ここに入らなければ、目立たなければおじいちゃんにもエースにも迷惑がかからなかったんじゃないか。そんな負の感情がいつまでも私の中に蠢いていたのだった。
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