【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第29章 少しずつ見える本性
「あ、ありえねェ…普通にあんな海流作り出せるか?」
「普通じゃねェのが…悪魔の実の能力者だろ」
「…なによ…化け物じゃない。」
「化け物だ…」
ボソッと聞こえた一言に、便乗するように広がっていく“化け物”の言葉…その方を向いても皆が知らぬ顔をしていた。
「アンー!!流石だったよー」
「相変わらずありえねェ力だねい」
『…うん』
「アン?どうかしたのか?」
『え?ううん。なにもないよ!ちょっと疲れたから休むねー』
「お、おぉ…」
隊長たちもなにも変わらず接してくれた。がやはり傷つくものは傷つく。私は何も悟られぬように医務室に向かった。
『…リアス…』
「あら、アン?さっきは大手柄だったみたいね。」
『…そんなことよりエースは?』
「そんなことって…もう。エースくんならまだ寝てるわよ。」
「エースさんはまだ眠ってるので面会できません。帰ってくださいー。」
「あら、サリア。いいのよ、アンは。」
「それって贔屓じゃないですか?」
「2人はいいのよ、船長さんからも特別に許可されてるのよ。」
「ふーん…」
『ってことなので、通してもらいますね。リアス…』
「ええ、わかってるわ。誰も通さない。」
『お願いね。』
部屋に入るとガチャンと鍵を閉めた。奥にはエースがまだ眠っておりその顔は穏やかだった。
『エース…化け物だって…家族に言われちゃった。また…あの時と一緒だね。』
エースのまぶたが少し動いたような気がした。がまた寝息を立てて眠りに入ったようだ。
『…エース…家族には言われたく…なかったよ。』
気持ちが落ちているのだろう。このままいても何もならない。エースが眠る医務室から出るとそこには仁王立ちをするサリア。
「エースさんとどういうご関係ですか!」
『関係も何も…家族よ』
「それって船の決まりってやつで言ってるんですよねー?ほんとに家族とでも思ってるんですか?」
『どういう意味…』
流石にこの言葉は聞き捨てならない。
「私正直、家族とかどうでもいいんですよね。この船に乗った理由も実は…隊長さんたちのお近づきになりたいからだし。」
『…』
「私、エースさんのこと本気で狙ってるんで…手出さないでくださいね。ば・け・も・のさん」
サリアはそういうと、ナースの仕事に戻って行った。
『化け物…ね』