第2章 第二章 お兄様
わかるかい?君は誰よりも可愛い私の妹だ。
そう….たとえるならば
人間に寵愛されるために生まれてきたような猫のような存在だ。
下品なリードなんてもの必要ないし、私の目の届くところなら好きなように動いていいんだよ。
犬のように私の機嫌を伺う必要もない。猫は気まぐれなのが愛らしいところというからね。
犬は首輪をつけ、躾をし、己の意思など必要なく飼い主の言うことを従順にきいていなければ
生きてはいけない。
そうなることが犬の生きる意味だ。
まるでこの国のようだとは思わないか?
私は悲しく、そして胸が張り裂けるような思いだ。ふふ
ああ、優しいカナ。
そんな悲しい顔をしないでくれ。
胸を痛ませる君は本当に聡明で優しい子だが、それではキリがない。
なぜなら、悲しいことにそれが彼らの…犬の幸せなんだよ。
カナ、レディがそんなに怪訝そうな顔をするものじゃない。
それとも動物に例えたのが気に食わなかったのかい?
そうだな…では天使ーーーと言った方が君は喜んでくれるかな?
ただ天使だとしたら、私は君の翼をむしらなくてはいけないね。
だってそうだろう?
君が私の元から飛んで行かれたら困るからね。
そんなに怖がらないでくれ、愛しい私のカナ。
私だって君にそんなことをしたくはない。
ただ君がいなくなると考えたら不安で仕方がない。その時はそれこそ狂って、国民を大量虐殺しかねない。
…なんてね、冗談だ。
お兄様らしくないと君は笑うかい?
私は君が思ってるより完璧な人間ではないんだ。
むしりとるなんて乱暴なことをしない代わりに私は君に首輪をつけておくことにするよ。