第20章 二人の過去《回想》
(…っ!見つかっちゃった…っ!)
おずおずと建物の影から顔だけ覗かせると、こちらを見据えていた男の子の表情が変わった
「あ…?なんだ、お前。お前みたいなやつがこんな所でなにしてる」
目を大きくし、少し驚いた様子だ
「あ、あの…えっと、家出?して…」
うまく言葉にならず、まごついていた未来の態度に彼はため息をついた
「はァ…まあいい。こんな所にいても仕方ないし、ついてこいよ」
それだけ言うと彼は背を向けてすたすたと歩いて行ってしまった
(ついてこいって…)
呆然と立ち尽くしてしまったが、ここに居ても仕方がないのは確かで、大人しくその彼について行くことにした
道中、彼はなにも話そうとはしなかった
(あまり変わらない背丈からすると同い年くらいかな)
都度振り返り、私がついてきているか確認していた
(もしかして気にかけてくれてる?)
ジャリッ
ジャリッ
ジャリッ
二人歩く足音だけが響く冬の夜のことだった