第17章 失った記憶、失くならない記憶
未来の身体に回していた腕を緩める銀時に気づいて、未来も腕から力を抜き、向き合うようにお互いの顔を見合った
「すまなかったな…、お前を傷つけるようなことして」
「…銀ちゃんはなにも悪くないよ。こうして記憶も戻って…」
銀時の頬に手を伸ばし触れた未来の指先は、少し震えている
「未来…」
潤んだ瞳から今にも涙が零れ落ちそうだった
「もう一回、名前呼んで…」
「…未来」
「もう一回…」
優しく未来を呼ぶ声も、呼び捨てにする呼び方も懐かしくて、何度も呼んで欲しくなった
「未来…」
銀時の両手に包まれた頬は暖かく、鼻先が触れ合う距離で銀時は未来を呼び続けた
失った記憶、失くならない記憶 -fin.-