第17章 失った記憶、失くならない記憶
「未来さーん?いませんかー?」
銀時は長い廊下を歩いて探してみたが、未来を見かけることはなかった
入れ違いでもう部屋に戻っているかもと考え、来た道を戻ろうとしたとき、どこからか何かが聞こえる
「……めて……はなして……」
「未来さん…?」
微かに一瞬だけ聞こえた未来らしき声に、本能的に身体が反応して、辺りを見回す
頭では記憶を失くしても、未来に関することは、声色一つとってもその身体が覚えている
「未来さん⁉︎」
廊下に並ぶ襖を片っ端から乱暴に開けていき未来を探す銀時
記憶を失くしてからは、そんな荒々しい言動はしなかったが、無性に焦り苛立っている
さっき僅かに聞こえた声が未来のものだったらと思うだけで、額を嫌な汗が流れた
そして、ある部屋の襖を勢いよく開けると、そこには未来と三人の見知らぬ男たちがいた
未来は壁に追いやられ、その周りを男たちが囲んでいる
見知らぬ男に手首を捕まえられ、完全に怯えきった未来の姿が銀時の視界に入った途端、全身の血が湧いたように熱くなり、頭に血が上る
そしてその瞬間、欠けていた記憶や思い出が銀時の頭の中へ流れ込んできた
未来や新八、神楽
日ノ輪たちのことや、桂や真選組…
取りこぼさないよう、多くの記憶が銀時に戻ってきた