第7章 噂話
実際は拍子抜けする程気さくで優しい。人と接する時も思った程壁を作らない。きっと誰に対しても、飾らず威張らず優しいのだろう。だからこんな風に人望があるんだ。
修兵のことを考えながら執務室へ戻ろうとすると、目の前に突然恋次が姿を現した。
「よお、さっきはありがとよ」
「恋次…!びっくりした、おどかさないで」
「お前の霊圧辿って来たんだよ。お前今日仕事の後ヒマか?」
居場所を突き止めた理由を説明しつつ、用件を切り出してくる。
「急にどうしたの?」
「副隊長の親睦会…という名の飲み会があるんだと」
どうして自分が呼ばれるのか分からず首をかしげると、恋次は察したようでそのまま続けた。
「お前も副隊長みたいなモンじゃねーか。いい機会だし」
その親睦会は随分大雑把な括り方のようだ。
「副隊長は大体来るぜ。吉良と檜佐木さんは確実にな、なんせ乱菊さんが主催者だから」
と言われてもその因果関係はよく分からない。萌にとっては、益々修兵と乱菊の間柄が気がかりになるだけだ。
「恋次って…吉良くんは分かるけど、檜佐木副隊長とも仲良いんだね」
「ん?あぁ、まァな。昔から知ってたし。あの人有名だったらしくてな」
成績優秀者だという事自体は萌も耳にしていた。それでもまだ解せない表情を浮かべると、恋次は頭を掻きながら補足した。
「まぁ、昔演習でな、あの人が引率だったことがあるんだ。護廷十三隊に入ってからも何となく話してて」
初めて聞く話だった。余り言いたくない事だったのだろうか?直感的にそう思った。
これ以上は無理に聞き出したくない、萌は頷いて納得した。
「ま、とにかく来いよ。何なら迎えに行ってやるぜ?」
申し出を受け、手を振り恋次と一旦別れた。
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