第8章 親睦会
迎えに行くと言った恋次が来ないので、こちらから六番隊へと出向いた。予想通り、まだ書類と格闘中の恋次が仏頂面を見せる。
「隊長は自分の分だけきっちり終わらせて、さっさと帰っちまった」
萌も手伝って作業を済ませ、いざ会場へ向かう。場所は十番隊内の一室だという。皆が仕事が終わった順に参加出来るようにとの配慮らしい。
「あらぁ、あなたが萌ちゃんね、とっても可愛いじゃない~!」
到着早々、こちらに気付いた乱菊が笑顔で萌達を出迎えた。面と向かい会話するのは初めてだったのでお互い自己紹介をする。
「アタシ、十番隊副隊長松本乱菊。可愛い子大好きよ、よろしくね!」
手を差し出され握手かと思いきやその手は萌の背中まで伸び、むぎゅっと抱き着かれた。
「ん、体つきもなかなかね、将来有望!さぁ飲んで飲んで~」
「その絡み方…夢野が困ってるだろ」
「何よお、親睦会なんだからいいじゃない」
その勢いに面食らいどう反応しようか戸惑っていると、端で見物していた一角が乱菊を制してくれた。
何ていうか、凄く綺麗な人だけど…豪快だな。
その後は一角と弓親のいるテーブルに腰を落ち着ける。修兵はまだ来ていないようだ。
「お前、飲めないンなら無理して飲まなくていいぜ」
「代わりに一角が飲んでくれるってさ」
最初こそ場に馴染めず十一番隊の二人に頼っていたが、次第に周囲と打ち解け萌はご飯もお酒も美味しく頂いていた。
そしてほぼ面子も揃い食事も済んだ頃、ようやく修兵が姿を現した。
「お疲れ様です、遅れてスイマセン」
「檜佐木遅ぇぞー」
その遅刻っぷりに周りからブーイングが飛び交う。
「遅いわよ修兵!罰としてアタシの小間使いになりなさい!」
「ちょ、それ普段と変わらないじゃないですか」
「あら何その普段からパシらせてるみたいな言い方」
早速乱菊との親しげな会話を見せつけられる。萌は周りにばれないように二人の様子を盗み見ていた。
「吉良がもう出来上がっちゃってるの。修兵、責任取って吉良の分飲んで」
「その責任とやらはどこから?勘弁してくださいよ」