第6章 食事
「…萌ちゃんにか?何だよお前」
「ちが…ッ」
少し頬を赤らめつつ慌てて否定する恋次。ため息を吐きながら修兵が切り返す。
「…ま、痛い目見るのも勉強だ」
食事を済ませ店を出る。自分の分は修兵が払ってくれたため、お礼を言って共に仕事場へ戻る。
「檜佐木さん、もしかしてまた金欠スか?」
自腹を切らされた恋次がここぞとばかりに指摘する。
「飲み過ぎなんスよ」
「しょーがねえだろ、乱菊サン断れるかよ」
二人の会話の内容に不意に心臓がどきりと鳴る。
乱菊さん…十番隊の副隊長で、綺麗で色っぽくて腕もたつ大人の女性。お酒が好きで酒豪だとは聞いているけど、金欠になるほど普段から一緒に飲んでるの…?
どちらかというと萌は、普段お世話になっている四番隊やご近所の十一番隊の席官達と過ごすことのほうが多い。副隊長の面々とはそんなに親しい訳ではなかった。乱菊と修兵がどんな間柄かなどと知るはずもない。
急に足が重くなったような感覚に襲われながら、少し先を行く二人の背中を追った。
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