第1章 路地裏の闇
家...とは呼べない路地裏に帰ると、親が不機嫌だった。
どうやらお酒を盗もうとしてばれたらしい。
証拠不十分で逮捕はされなかったものの、イライラしていた。
ー最悪だ。
私はUターンしようとしたが昨晩の暴行でうけた傷を壁に打ち付けてしまい、膝を着いたところ見つかってしまった。
...また、殴られる。でも私にいつもの余裕は無い。
昨日は[お客]が来たので正直コンビニの往復が手一杯だった。
今度こそ、本当に死ぬかもしれない。言ってもやめてくれないだろう。
そんな事を考えている内に捕まってしまった。
そしてやはり殴られた。食べ物も全部取られた。
でも、なにも出来ない。女だから。弱いから...。
しばらく殴られ、もう動けなくなったとき、急に殴るの手が止まった。
どうしたんだろう。
そう思った時、父親の不気味な表情が見えた。
そして、考える暇もなく、バケツいっぱいの汚れた水をかけられた。
水は私の鼻や口に入り、息苦しくなってきた。
しかし水はかかり続けた。母親も一緒にやった。
普通だったら謎の行動なのだろうが、盗みに失敗した両親に...、いや、失敗する前から狂っている両親にそんな疑問はわかなかった。
そして両親の笑い声を聞きながら、静かに目を閉じた。