第3章 見知らぬ世界
ベポの背中から現れた船長らしき人物を先ほどと同じように観察してみる。
触り心地の良さそうな帽子に寝不足なのか?と思わせるような目の下の隈、そして一番に目がいく身の丈程もある大太刀。
『(服装からして忍、というわけではないか)…あなたがこの船の船長?』
「ああ。お前、何者だ?何故この船に居る」
『??何故?あなたが私を船に乗せたんじゃないのか?』
「は?何言ってやがる。俺はテメーのことなんざ知らねぇ」
こうなった状況を問うと目の前の彼は私の事は知らないと言い張り警戒してるのかじっと見つめてくる。
『(嘘を言っている目ではない、が)……いくつか質問したいんだけど…』
「…答えてやってもいいが、こっちの質問にもきっちり答えてもらうぞ」
『もちろん、私で分かる範囲で答えると約束する』
「…いいだろ。で?質問ってのは何だ」
彼の了承を得ると大体の現在地や木ノ葉の里の位置等を問いかけるとベポの表情が理解不能といった表情を浮かべ、船長ですら何言ってるのかと眉を寄せていることに今度は私自身が困惑してしまう。
「…お前、頭大丈夫か?…木ノ葉の里?一体何を言ってる」
『(とんでもなく失礼な男だな)頭は正常だし、あなたこそ大丈夫?木ノ葉の里を知らないって、普通じゃないんだけど』
ベポ「えっと…ボクもそんな名前の場所聞いた事ない、よ…?」
『は?…(木ノ葉の里を知らない?そんな人間とクマ……や、クマはともかく人間がいるなんて聞いた事がない)…第四次忍界大戦は?まさかそれも知らないなんて…』
「知らねぇな」
百歩譲って木ノ葉を知らない人間が居たとしてもあれほどの大規模な第四次忍界大戦を知らないというのは絶対におかしい。
『…………此処は一体何処、なんだ……?』
「此処は偉大なる航路…【グランドライン】だ」
偉大なる航路?グランドライン?
初めて耳にする名前、木ノ葉の里を知らない彼等…。
まさかとは思っていたけれど…此処は……私の居た世界とは全てが異なる世界なのではと、あり得ない考えが頭の中を過ってしまった。