第5章 賑やかな食卓
『…そういえばローは何で此処に?食事はいつも部屋で食べてるんじゃ…』
ロー「…別に意味はねぇ。たまには此処で食うのもいいかと思っただけだ」
『なるほど…。…それで、その…味の方はどう?甘い物が苦手な人はいないって聞いてはいたけど…』
ガヤガヤと楽しそうに会話をするシャチ達を視界に入れつつ隣で黙々とパンケーキを食べるローが妙に気になり声をかける。
ロー「不味くはねぇ」
『…それって美味しくもないってこと?』
ロー「…そうは言ってねぇだろ。……ま、悪くはない」
『…ふふ、そっか。それなら良かった』
普段から感情をあまり表だって出さないタイプなのだろう彼の事が少しずつだが分かってきた気がして何故だか嬉しく思う自分に内心苦笑いが溢れた。
ロー「…次の島に到着したらどうするつもりだ?」
『ん?んー…そうだなぁ…とりあえずこの世界の事を知ることから始めようかなと。何も知らないんじゃ元の場所に帰れる方法を探すのも無理だろうし』
自分の分のパンケーキを食べる最中に既に完食していたローから島に到着してからのことを問われ考えるように視線を天井に向け、この世界の事を知らないことには帰る方法を見つけることはまず不可能に近いだろうと判断したことを告げると今度はローが何かを考えるような仕草を見せたことに不思議に思う。
『?ロー?どうかし「もし…」…?』
ロー「…もし次の島で帰る方法が見つからねぇなら……見つかるまでこの船に居るか?」
『……………え………いい、の?』
予想していなかった提案に驚きを隠せず思わずローの顔をじっと見つめてしまった。
ロー「…っ…言っておくがその分きっちり働いてもらうぞ。…それにお前の腕は役に立ちそうだからな」
見つめ続けている視線に耐えかねたのかフイッと逸らされる目が気にならないほど今の私の心情はかなり高ぶり、思わず隣に座るローの体に抱きつく。
『もちろんッ!!戦闘でも料理でも任せて!!ありがとう、ローッ!!!』
ロー「ッ!!?」
ペンギン「あああ!!キャプテン何やってんっスか!?」
シャチ「お~…キャプテンもなかなかやるな」
ベポ「雫!!ボクも!!」
嬉しさのあまり抱きついてしまったことで周囲の皆が騒ぎ始めてしまうも今はあまり気にはならなかった。