第5章 賑やかな食卓
あの後お互いに名前で呼び合おうことに決めてローに言われた通り船内を案内してくれるシャチと共に目的の厨房へと入る。
『………えっと…ここで皆食事してるの?』
シャチ「…キャプテン以外は…まぁ、うん…そうだな」
中に入ると中途半端に片付けられている食器や流し台に置きっぱなりになっている食器類。
衛生面もだが、よくもこんな場所で食事をする気になるなと溜息吐きたくなったのをなんとか飲み込む。
『……なるほどね(やること多そうだ)…とりあえず掃除から始めるかな。シャチ、今手が空いてるならテーブル上の食器類を流し台に運んでくれる?私は汚れた物を片付けていくから』
他にやることがなければと袖を捲りながらシャチに頼むと快く頷いてくれたことに感謝して流し台の食器類を洗い始めることに。
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掃除を開始させて数時間後、なんとかスッキリした厨房と食卓周り。
さすがに疲れた表情を浮かべるシャチに本当に助かったとお礼を告げ、何か軽食的な物でも作ろうかと冷蔵庫の中を確認。
『そうだなぁ…パンケーキでも作るかな。あ、この船の皆って甘い物大丈夫?苦手な人って居たりしない?』
シャチ「甘い物が苦手な奴はいねぇけど…キャプテンがな~…」
『?ローがどうかした?』
シャチ「や、パンケーキなら大丈夫だとは思うんだけどな。キャプテン…パンと梅干だけは駄目なんだよ」
冷蔵庫内からパンケーキを作るため材料を取り出しながらシャチの話に耳を傾けるなか、ローの苦手な物がパンだと告げられ笑みを溢す。
『パンケーキはパンじゃないから大丈夫じゃない?ま、もし無理そうなら別に違うのを作るから』
そう返すとありがとうとお礼を言われ気にしないでと首を振って応える。
シャチ「何か手伝うことあるか?」
『んー…それじゃ、人数分のお皿にフォークとナイフをお願いしてもいい?』
シャチ「おう、了解!」
片付けも手伝ってくれたのに更に手伝いを申し出てくれたシャチへの好感度が上がったのは言うまでもない。
一枚一枚焼き過ぎないように気をつけて焼き続け、その間に準備しておいた生クリームを軽く添える。