第4章 ハートの海賊団
特に問題もなく順調に航海を続けて数日。
「(次の陸地までだいた3日ほどか)…?話し声?」
他の海賊や海軍の攻撃を受けることもなく穏やかな船の揺れを感じながら医療書を読んでいると開けた窓から微かに聞こえてきた話し声。
いつもなら船員達が話してるのだろうと特に気にすることもないのだが、この船内に居るはずもない女の声が聞こえてきたのだから気にしないわけにもいかない。
「…女?(どういうことだ)……チッ、面倒な事にならなきゃいいが…」
敵襲の可能性も考えて鬼哭を手に持って甲板へと足を進め、見えてきた白い背中に今日の見張りはベポだったかと思い出すと同時に何故誰にも報告をしないのかと呆れの溜息を吐き出す。
「(処罰は後にするとして)…オイ、ベポ…これはいったいどういう状況だ」
俺の言葉に反応を示したベポが振り返ると女の姿が露に。
「(見た事ねぇ奴だな。…それに妙な格好をしてやがる)」
全身黒に包まれており見たこともない面を付けていて、声色から20代半ばかと推測しつつ見渡す限り海という状況でどうやってこの船に乗ったのか。
出発前に船内の確認はしているので密航者という線は無い無いだろう。
目の前の不審な女を観察するように見つめていると船長かと尋ねてきたのでとりあえず頷いて返す。
「ああ。お前、何者だ?何故この船に居る」
『??何故?あなたが私を船に乗せたんじゃないのか?』
何故此処にとの問に驚きと困惑が混じった表情で問い返してきた女に自然と眉に皺が寄る。
「は?何言ってやがる。俺はテメーのことなんざ知らねぇ」
もしこんな見るからに怪しい奴を乗せたというなら覚えているはず。
そのことをキッパリ言ってやれば何かを考える仕草を見せてからこちらをじっと見つめ返してきて質問があると言う女。
とりあえずこっちとしてもどういった経由でこうなっているのかを知る必要があるため、女の提案をのむことにしたまではよかった。
木ノ葉の里?火影?一体何を言ってるんだ。
女の口から出て来る意味不明な言葉やおそらく地名らしき名前すらサッパリ分からない。
だから思わず頭がイカれてるのではと失礼極まりない言葉を発してしまった。
「…お前、頭大丈夫か?…木ノ葉の里?一体何を言ってる」