第17章 ボーイズトーク1 大和、楽、三月 ※裏
#2楽
楽16歳ー…
高校生になり、相変わらず親父に色々言われるのが、釈で、ダンスレッスンやボイトレに本格的に通い出した頃、俺は運命的な出会いをした。
一緒にレッスンを受ける、アーティストの卵。
五つ年上の、夢香。
とりあえず、めちゃくちゃ可愛い。
それに、真面目で貪欲。
すぐにアプローチした。
「夢香、一緒にかえろうぜ」
「私、帰りに予定あるから、また今度ね、楽くん」
まーそんな調子で、最初は、全然相手にされねえ…。
そこから、マジでガンガン、アプローチして、告白して、やっとハートを射止めた。
「夢香、レッスン帰り、飯いかねぇか?」
柔軟体操しながら、こそっと耳打ちする。
夢香は、少し考えた後、
「んー…そうだね…いいよ」
にこりと、微笑み俺を見る。
マジか。かわいい。
レッスン後、ファミレスでご飯を食べ店を出た。
「楽くんって、ほんと大人ぽいよね、十六にはみえないよ」
夜の街を歩きながら、夢香はそう言った。
「ああ最近、よく言われる。誉められてる…のか?まあ、サンキュ」
「ふふ、だから、そういうとこね」
笑顔が可愛くて、彼女の手をとり、ぎゅ、と握った。
駅が近づき、思わず俺は、
「なんか、帰りたくないな」
ポツリ、とつぶやいた。
彼女の足がとまり、繋いだ手を、くいっと引かれる。
「ん?」
「うち、くる?」
「えっ?」
「帰りたくないんでしょ?」
ドキッとするような、真剣な眼差しで俺をいぬく。
フッと笑い、そんなの、行くに決まってんだろ、と俺は答えた。