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夢の続き【アイナナ】

第8章 九条天夢(新人アイドル)


#2
「今日の生放送、あれは、どういうこと」
事務所の廊下で、待ち構えていたかのように、声をかけてきたのは、恋人の九条天。かなり不機嫌。

生放送で、音を外してしまい、その後ぐだぐだな乱れた歌とダンス。
自分でも、これはない、ってくらいのミスだったと自覚していた。

「はい…。うん、今日はちょっと自分でも、わかってる、すごく反省してる」
「まあ、あれで反省してのないなら、相当だけど」
はあ、と大きなため息をついて、強い視線を向けられた。

恋人になったけれど、天は相変わらず手厳しい。
天のお説教は、さらに続く。
正論なだけに、反論の余地もない。
だんだんしんどく、なってきた。

「もう、その辺りにしとけ、天」
気がつくと、私の後ろには八乙女楽。

「そんな、頭ごなしに言ったって、萎縮するだけだろ、夢花だって反省してるんだから」
頭をポスン、となでて、
「だろ?」と、優しく微笑んだ。
思わず、張り付けていた気持ちが揺れ、涙が滲む。
「や、八乙女さん…」
「楽は、関係ないでしょ」
「だから、おまえなあ…」
今度は、二人で、言い合いが始まってしまった。

「もういい、お説教の続きは、別室でするからきて夢花」
天に腕を、くいっと引かれる。

咄嗟的に振りほどき、八乙女楽の腕をとった。
「私、これから八乙女さんと予定あるから!」
「「なっ…?!」」
心底呆れた顔の天。けれど、今日はもう天のお説教をこれ以上きくメンタルがなかった。
「ふーん…そう、じゃあ、楽、後は、よろしくね」
そういうと、天は不機嫌そうに踵を返し、去っていく。
「あっ…おい、天…」
「八乙女さん、行きましょう」
「はあ?行くって、おまえなあ…追いかけて仲直りしとけよ、付き合ってるんだろ、天と」
「はい。今日はもう、何言ってもお説教コースなんでいいです、別に」
今度は、はあ、と八乙女楽の大きなため息が降ってきた。

その後八乙女楽と、美人な女将さんがいる、お蕎麦屋さんに行き、一緒にお蕎麦を食べて、慰められて、家に帰った。

ボスン!とベッドに倒れこむ。
淡い期待を少し持ちつつ、ラビチャの画面を開く。
勿論、天からの着信はない。
(謝りのラビチャしとこうかな…)
急に心細くなり、何度も文章を作成しては、消したりを繰り返す。ごめん、反省してる、と送信して、そのまま寝てしまった。
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