• テキストサイズ

夢の続き【アイナナ】

第8章 九条天夢(新人アイドル)


「たんに、君が好きなだけ」
唇を、離すとそう告げた。

あの、九条天が…私を好き?
「ウソでしょ…」
思わず、本音がこぼれる。
九条天は、何度も口付けながら、囁く。
「まず、顔が好き」
「顔って…あなたも十分美しいですけど…」
人差し指をたて、私の唇にあてる。
「それから、歌も好き」
「それは、どうも…」
「負けず嫌いで、僕のレッスンを嬉しそうに貪欲に、吸収していくところ」
「……」
「君の笑顔をみると、幸せな気持ちに、なれる」
最後に、キラキラと自信たっぷりの笑顔。
私を真っ直ぐに見つめ、そう言った。

完全降伏。
どうしたって、カッコいいこの人。
呆然と、見つめ返すだけで、精一杯。
胸がいっぱいになった。

綺麗な顔に、蜜に吸い寄せらてる蝶のように、私からも、九条天にキスをした。
触れるだけの短いキス。
「私も、九条天が好きです…」
自然に自分の思いが、口からこぼれ落ちた。
「だと思った。ところで、何でフルネーム?」
「あはは」
それから、二人で視線を合わせ、抱き合ってまたキスした。天使のキスは、本当に甘い。さすが九条天。

「それじゃあ、着替えて、ダンスのチェックしよう」
「ええ?!こんな、甘い雰囲気なのに?」
「当たり前でしょ、プロなんだから。どう?完璧に仕上げてきた?」
「臨むところですよ、九条さん」
「ふ、そうでなきゃね、僕の彼女になったんだから」
「……か、彼女!?なの?」
「そう。あ、あと、天って呼んで。同い年だし。」
「…天!」
「いいね、じゃあ最高のダンスみせて」
コクリ、と頷く。

その日、私に手厳しい、でも天使みたいな、恋人ができたのだった。


/ 127ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp