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夢の続き【アイナナ】

第8章 九条天夢(新人アイドル)


天からの返信は、なかった。
それからしばらく、仕事も忙しく、事務所やレッスンでも会わない日々が続いた。

二週間位して、レッスン室で、 TRIGGER と偶然一緒になった。
久しぶりにみる、天の姿。
その綺麗な横顔に、見とれる。思わず、視線を送った。
(こんなの、まるで片思いみたい。付き合ってからは、私が天を追いかけるばかりだ…)
そんな私の、切ない気持ちを、知ってか知らずか、八乙女楽と十龍之介が明るく私に、話しかけてきた。

こそっ、と八乙女楽が、あの後ちゃんと仲直りしたか?と耳打ちする。

「えっ…と、まだ、です」
「はー、だと思った…」
頭を押さえる、八乙女楽。
「何でわかったんですか」
「そりゃ、わかるだろ…あれからずっと、ハリネズミだからさ。よし!」
「龍!ちょっと向こうで、打ち合わせしたいことあるから、こいよ」
「ん?打ち合わせ??わかったよ楽。じゃあ、夢花ちゃん、天、後でね」
「はあ?ちょっと、楽!龍!」

パタンと扉が閉まり、ドタドタと二人がでて、急に静かになるレッスン室。
緊張が走りながらも、天を見つめた。
「ラビチャ返事くれないんだね」
「ラビチャ?」
「二週間前に、送ったでしょ、ごめん反省してる、って。」
「届いてないよ」
「え!?」
慌てて、ラビチャの画面をみると、送信したつもりが、下書きになっていた。
「送り忘れてた…」
ガックリとして、顔を上げたら、
クスクスと、天が笑い出した。
(この人の笑顔、ほんと、天使みたい)
思わず見とれる。胸の奥が締め付けられる。
「別に、もう怒ってないよ。さすがに。その後の仕事は、完璧だったしね。全部、観てたよ。」
うーん、と伸びをして、極上の笑顔を向ける。
「よ、良かったあ…私もう天と離ればなれになっちゃうのかと思った…」
「そっか、不安にさせてたね。仕事に集中させたくてボクからは連絡しないでいたんだけど。」
「もーだったら、そういってよ!」
天の胸にポカポカと叩いて、抗議しかけた私に、そっとごめん、と目を伏せて微笑み、天は、優しいキスをした。
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