第22章 ボーイズトーク3 ナギ、つなし ※裏
あっという間に、ドラマはクランクアップ。
打ち上げでも、二人で楽しくおしゃべりした。
共演者の陸くんが、
「二人って、自然に仲良くって、何だか本当の兄妹みたいだねっ」
と、無邪気に言う。
俺も、本当の妹のように思っていた。
というか、妹以上に好きになっては、いけないと気持ちを制御していた。
帰り際、夢子ちゃんは俺に、何か話をしたそうだったのに、俺はすっかり酔っぱらい、気が着いたら、姉鷺さんの車で自宅に戻っていたのだった。
数ヶ月後ー…
東京は、梅雨らしく、しとしとの雨。
午後七時半。早朝からの撮影で、俺は少し眠かった。帰りのタクシーで、ぼんやり外を眺める。
「えっ!」
雨の中、傘もささずに歩く夢子ちゃんを窓から、見かけた。
思わずタクシーを降りて、夢子ちゃんに駆け寄り、傘をさした。
「夢子ちゃん、久しぶりっ!傘持ってないの?送って行こうか?」
静かに顔をあげる、夢子ちゃん。
あのハツラツとした笑顔はなく、泣きそうな顔がそこにあった。
「…夢子ちゃん?」
「つなしさんっ!」
俺に抱きつくと、夢子ちゃんは泣き出してしまった。