第20章 三月夢(幼なじみ)※微裏
彼女の家まで、走って向かう。
やっぱり、一番好きなのは彼女。
実家のお店に向かい、ケーキをデコレーションした。オリジナルのバースデーケーキ。
電話もラビチャも、返事はこない。
家のインターフォンを押し、ひたすら玄関で待つ。
数時間後、根負けした彼女が家から出てきた。
「今日、ほんとにごめん。許してなんて、虫の良いこと言わないから、ケーキとプレゼントだけもらって欲しい。お誕生日おめでとう」
頭を下げた。
「……もう、近所迷惑だから中入って」
「いいの?」
「もう次はないからね?」
やれやれと、彼女は言う。
「…っ!夢里っ…」
俺は泣きながら、彼女に抱きついた。
大好きだっと叫び、キスを降らせる。
当たり前と思っていた彼女の存在が、特別だと思い知った。