第19章 大和夢4(新人女優) ※裏
来月会う約束をした。
それまでに、いったん、冷静になろう。
そんな気持ちで一週間くらい過ごした。
仕事終わり、寮に帰宅する。
「ただいま…っと」
「うわっやべ、ヤマさん!」
俺が帰ると、慌てて、タマが何か隠す。
「大和さん、お、お帰り!はやかったな」
ミツまで少し動揺してる。
タマが隠した雑誌を、ヒョイ、と後ろから奪う。
「ああ…ヤマさん…!」
目に飛び込んできた記事をみて、また頭を殴られたみたいな衝撃が走る。
彼女が知らない男と、マンションから朝出る写真が掲載されてた。見出しも二股だの、俺と破局だの書かれたい放題。
(こいつか、幼なじみ…ていうか、十中八九、元彼だろ)
俺は冷静に見ていた。
「大和さん、こんなの好き勝って書いてるただのゴシップだってっ、あんたが一番わかってんだろ?」
「そ、そうだよヤマさん。こないだ温泉とかいってたし、うまく行ってんだろ」
「はは、どーだろ…」
力なく笑う俺を、二人が気遣う。
居たたまれなくて、ビールを持って、自分の部屋に逃げる。
スマホをみると、彼女から何度も着信があって、ラビチャもきてた。
グビッとビールを飲み、スマホの電源を落とす。
正直、何も考えたくなかった。
ナギにもらったアニメのDVDを流す。内容は全然入ってこないけど、ただボーと眺めて、ビールを飲む。
数時間たち、うとうとし始めた頃コンコンと、扉をノックする音が聞こえる。
「大和さん、大和さんにお客さん、きてるけど」
「んー、いないって言ってくれる?」
「いや、それがさ…」
「大和さん!」
「!」
思わずガチャ、と扉を開けると、彼女が息を切らして、そこにいたのだった。