第19章 大和夢4(新人女優) ※裏
数週間後ー…
午後の撮影が、雨で中止。
急にできたオフ。
あの温泉から、会えてない彼女にいそいそと電話した。今日彼女は、オフのはず。
トゥルル…ガチャ
「はい」
「ああ、俺。今からさ、家に行っていい?午後休みになって、さ」
「あ…えっ!?…えっとー…」
「何?」
「今、幼なじみが家に遊びにきてて…その」
「ほーん、そう…わかった、急に悪いな、またな」
「あ、はい…」
電話を切る。
こんな歯切れの悪い彼女の対応、はじめてだった。
違和感を感じたし、幼なじみが男だとすぐに察しがついた。
頭を金づちで殴られたみたいに、痛い。
マイナスな思考回路が暴走し始めた。
今から、彼女の家に乗り込もうか?問いただそうか?
俺は、正真正銘恋人だし、というか今や婚約者。
「はっ…なんだこれ」
思わず独り言をいい、冷蔵庫からビールを持ち出し、部屋で一人一気飲みをする。
いつも以上のハイペースで飲んで、そのままふて寝した。
彼女から、次の日ラビチャが届く。
いつも通り、オフや会える日の連絡。
昨日の電話は、俺の夢か?と一瞬思うけれど、通話履歴はしっかりあって、やっぱり現実だったらしい。
モヤモヤした気持ちが、少し残る。
彼女に問いただせばいいのかもしれないけれど、素直に真っ正直から行けないのは、きっと俺の性分なんだろう。