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愛玩彼女

第17章 エンディングのその後は


「お腹すかない?」
「飯いくぞ」




さっきまでの鬱々とした気分が一瞬で払拭される。
いつもと変わらぬ彼等。



だけど同時にそれは。
天の邪鬼が顔を出す瞬間でもあるのだ。



「………行かない」
「あぁ?」
「行かない。ひとりがいい」



「……勝手にしろよ、行くぞ透」





不機嫌極まりない、苛立った声。







違う。
違う。
こんなこといいたいんじゃ、なくて。
でもだって。
だって。
なんて言えばいい?
今さらなんて言えばいいのか、わからない。




「………それは、ズルくない?ライちゃん」



ドアへと向かっていた2つ分の足音が、止んで。
ひとつはため息。
もうひとつは、苦笑混じりに優しい声として、あたしの耳へと響いてきた。


「……ったく、泣くくらいなら始めっから素直になりゃーいんだよバーカ」




優しいぬくもりが、あたしをその腕へと囲う。




「ライちゃんいつも『やだ』とか『いや』しか言わないから、ごめん、ちょっと意地悪した」
「まだひとりのがいい?來」

「………っ」


腕の中へと囲われたままに、首を左右へと振る。



「………詐欺だ」


「さすがにさっきのは本気でイラっと来たけどな」
「うん。そろそろ本気で持久戦するとこだった」


「……酷い、涙返してよ」


「いや、このタイミングで泣く方がズルいでしょ絶対。思わず先に折れちゃったよ」
「泣きついてきたところでネタばらしする予定だったのに、お前最悪」


「……」




やっぱり俺様な双子は健在。
言葉もありません。
そのネタばらし、最後までしないで欲しかった。
結局あたしは、ふたりに踊らされていたわけで。
はじめからふたりは、この部屋をあたしに貸す予定など微塵もなかったわけだ。



「逃げたくても、逃がさないから安心しろよ」



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