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【FHQ】勇者の物語

第4章 来客


サワムラさんは10年前まで、王都の軍隊に所属していて、その中でも高い位にいたらしい。

王女の護衛兵として任じられ、ずっと側でお支えしていた。

しかし、ある日魔王率いる魔族の軍隊の侵入を許してしまい、王女を誘拐されてしまう。
サワムラさんは必死に王女を護ったが、過程よりも結果。国王に流刑を言い渡されて、ここ烏野村へ流された。
サワムラさんの力不足によって、王女が攫われたと言っても過言ではない状況だったため、自分も仲間も反論や弁護の余地無く判決に従ったという。

以来、サワムラさんは魔族の気配に敏感になってしまった。初めてキノシタさんと会った時、今回のように襲いそうになったそうだ。当時はスガワラさんやアズマネさんが止めに入って、大事には至らなかったらしい。

そういえば、ヤチさんが検問中のサワムラさんの様子を聞いて宿を飛び出した時、スガワラさんの元へ行ったんだって。
俺とヤマグチがサワムラさんと会った時は普通そうだったけど、ヤチさんがスガワラさんとサワムラさんに会いに行ったら、あまり良い状態ではなかった、と教えてくれたけど……どゆこと?

食堂が静かになると、スガワラさんがカゲヤマに質問する。

「ダイチとは、王都で剣を交えたのか?」

カゲヤマは答える。

「いえ、俺は後衛だったので直接は闘ってませんが、何度か見かけました」

スガワラさんは興味深そうに相槌を打ちながら、質問を続ける。

「魔王が王女様を狙った理由は知ってる?」
「本人は『暇つぶし』て言ってましたが、真偽は定かではないです」
「王女様はどこにいる?」
「魔王の水晶の中です」
「王女様の安全は確保されてるの?」
「あの人の魔法は絶対です。きっと不自由してないでしょう」
「魔王の居場所は?」
「魔族の大陸の中心部の大きな城にいると思います。ただ、気まぐれに人間の村や町を滅ぼしに放浪するので、運が悪いと居ないです」
「魔王の弱点は?」
「あの人、基本的に隙は見せないので何とも言えませんが、多分あの人の幼馴染を殺せば、追って消滅するでしょう。その分反動はありますが」

……コイツ、詳しいな。てか、スガワラさんなんて事を聞いてんだ。
素直にペラペラ喋るカゲヤマもカゲヤマだが、スガワラさんもスガワラさんだな……。



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