第7章 両手に花
「永夢くん」
「んー?」
わたしは聖くんを指さす。
「抑えてください」
「は?」
永夢くんはすぐに聖くんを取り押さえた。
「ごめんかいちょー!」
「なッなんなんだ!お前もなんでそんなすぐに動けるんだよ!」
じたばたする聖くんを押さえたまま、永夢くんは首を傾げた。
「せんせーどうしたらいいの?」
「あそこに拘束させて貰っていいですか」
わたしは時雨先生のテリトリーである医療用具が置かれた場所に指を動かす。
そこには婦人科系や泌尿器科で使われるような、開脚が出来る椅子型診察台が置かれている。
聖くんは顔を青ざめさせた。
「なんなんだよ、有り得ないだろ……!」
永夢くんは立ち止まり考え込む。
「んー……せんせーが言うならその通りにしたいけど、オレ斗真ちんみたいな脳筋じゃないしきびいかも」
わたしは首を横に振った。
「え?」
「永夢くんじゃなくて、聖くんにお願いしたんです」
「は……?」
「あそこに拘束させて貰っていいですか、って」