第7章 両手に花
「オレのこと、オレのことを褒めて、叱って、オレだけ見てて欲しいのに……オレこんな風に思うの、初めてなのに……っ」
永夢くんがわたしの首に噛み付くようにして肌に吸い付いた時、
「……待て……」
わたしは呟いた。
永夢くんはぴくんと腕を上げ、ゆっくりと動きを止めた。
わたしは照れ笑いをこぼす。
「なんか恥ずかしいですね……」
永夢くんの顎下を優しく撫でた。
「んっ……せんせー……」
ふるふると身悶えする永夢くんの頬をなぞる。
綺麗な顔のラインを手の先でゆっくりとたどり、目を合わせた。
「気持ちよかったですよ……いい子いい子」
わたしは微笑み、そっと後頭部を撫でた。
手のひらを左右する度に、永夢くんは表情を蕩けさせる。
「はあっ……せんせーに、なでなでされるの、オレ、ほんとに好きぃ……」
その満足気な顔に目を細める。
「ふふふ、たまには気持ち良くして貰うのも悪くないですね」
撫でる手を休め、ベッドに腰を下ろした。
永夢くんは真っ直ぐに立ち、とろっとした目でわたしを見つめている。
「おいで」
永夢くんはわたしに歩み寄る。
「お座り」
命令に従い、ぺたんと床に膝を着いた。