第7章 両手に花
永夢くんは指折り数える仕草を見せる。
「執着してるのとか、独占欲見せてるとことかー、そもそも自分からかまってかまってしてるしぃ」
「そんなこといつ僕がしたんだよ、永夢!」
永夢くんはぴんと閃いた表情になり、
「え、かいちょーせんせーが好きなの?」
「は?」
聖くんは荒っぽく声を上げた。
「そんな訳ないだろ!どうやったらそんな結論に行き着くんだ!こんなサディストの女好きになるか!」
「えー、オレ的にはそこが好き」
永夢くんはへらへらっと肩を揺らして笑う。
わたしの方を向き直る。
「オレかいちょーがこんなツンデレになってるの初めて見たよー、普段は猫かぶっててー、貴公子!みたいなんだよー」
永夢くんには適当に相槌を打ち、わたしは小さく呟いた。
「……わたし、そこまで言われる筋合いないんですけど」
「そもそも僕は女に何も求めてない、この女にも、何も……」
聖くんはブツブツと独り言を言っている。
わたしは聖くんの前に立ち、正視した。
「口が悪い子ですね、相変わらず」
聖くんは後ずさる。
気圧されたように身体を強ばらせる聖くんを瞳で真っ直ぐに捉えた。
「わたしを呼ぶ時は先生でしょ、またおしりペンペンされたいんですか」
「なッ……」
聖くんは身動ぎ、カッと頬を染める。
眉を釣り上げわたしを視る聖くんと対照的に、
「え〜、かいちょーいいなあ……」
永夢くんはぽーっとした目で言葉をこぼした。