第2章 シャボンディ
「久しぶり、トラファルガー。」
「屋か…」
木箱に座っているモコモコ帽子に声を掛ける。その目には言い表し様の無い"黒"が宿っている。
「まだ怒ってんのか。」
「べ・つ・に…‼」
「クク…怒ってんじゃねェか。」
「あーうるさい‼思い出すだけで吐き気がするっ!!!あたしはあの事を蒸し返しに来たわけじゃないの‼」
一気にまくし立てたおかげでハァハァと肩で息をする。
そんな姿を見て可笑しそうに笑みを浮かべているロー。
彼のクルーは無言でも、表情で焦っているのがわかる。
「あんた、オークション会場には行くの?」
「今のところ予定はない。お前らは。」
「見学程度にね。今お金無いから雇う気はないよ。」
実際、財宝が手にはいる様な事もなかったから今手元にあるのは先日海軍から奪った申し訳程度の金だけだった。
「そうか、気をつけろよ。」
「別にあんたに心配される様な事は無いわよ。じゃあね。」
「あぁ。ちょっとまて、コレをやる。」
の手に置いた一枚の紙切れ。
「何コレ?」
「ビブルカード。」
「いや、それは大体わかるけど何であたしに?」
「いいから持ってろ。」
「はいよ。じゃあまた会えればね。」
左手でヒラヒラと手を振り仲間の元へ帰る。
ハラハラとした顔をしているクルーに一発ずつげんこつを入れ、腹ごしらえにと一軒の店に入った。