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大嫌いだ[ONE PIECE]

第4章 イマ


「さっきも言っただろ。」
「何を…」
「はァ…」

深くため息をつき、頬に手を添えた。

「んっ」

手が冷たく、変な声が出てしまった。

「…好きだ。」

射るような目で見つめられる。
視線を逸らそうとしても、顎を掴まれ逃げられない。



一度、自覚しかけたが捨てたこの気持ち。
敵の海賊に恋をするなんてあり得ない。
…そんな気持ち、わかりたくもない。


「なァ?おれにキスされた時…どうだった?」
「別に…っ」


低くて色気を含む声。
どうすれば女が落ちるかわかってる。
何人も相手にしてるんだ。
そんな、悔しい思いが胸を占める。


「」


いつもは"屋"なんてムカつく呼び方するくせに、こういう時に甘く名前を呼ぶ…


「気安くあたしの名前、呼ばないでよっ…‼他の…他の女とは違うんだから…っ」


涙が溢れた。
悔しい。他の女と同じ扱いを受けている。


「あたしを…好きって言うなら…其れ相応の扱いをしなさいよっ…」
「とんだワガママだな。」


呆れたような声が胸を刺す。
好きなんて言葉はどうせ欲を満たす道具でしかない。


「十分特別扱いをしてるだろうが…」
「はぁ?どこが…⁉どうせ、甘く囁いてれば落ちるとでも思ってんでしょ…っ⁉そんな娼婦の真似事なんかしないわよあたしは‼」

足をバタつかせ、どうにか逃げようとするが全く敵わない。


「ただ欲を満たすだけなら、服脱がして今すぐ突っ込んでる。」
「なっ…別にそういう事聞いてるわけじゃ無いんだけど⁉」
「黙って聞いてろ。今ヤらないのは何故だかわかるか?まァ、お前の脳じゃわからないから教えてやる。」


耳元で優しく言った。

「力づくで手に入れたいわけじゃねェ。お前だけだぞ?心で愛してやりたいのは…」


どこか、切なさがある声。
初めて聞く声だった。


「意外にキザね…」
「本心を言ったまでだ。」


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