第3章 正体
『私は、』
「お前は妖の餌になりやすい」
私の言葉に被せて話を続ける晋助は私の目をしっかりと見ていて、そこから逸らすことは出来なかった。
「ずっと守られてたんだ」
九尾の狐に。
銀時に。
『どうして』
「彼奴が、お前に似てたからだ」
私に似ているとはどういう事なのか。
晋助の説明はとても完結的なもので、納得こそ出来ないが理由は分かった。
「彼奴も、"捨てられた"」
そんなの知らない。
知りたくなかった。
だって、彼に同情なんてしたくなかったから。
それでも、苦しさは分かる。
『じゃ、ずっと』
『私を守ってたのは』
先生じゃなくて、銀時だったの?
「お陰で小せェ物の怪はくっつかなくなってきただろ」
巡りめく今までの想い全部が涙となってこぼれ落ちた。
晋助の憑代である池に一つ二つと波紋が広がった。
「他の、お前の体質や、血については...」
「銀時に聞け」
そう言って晋助が吐き出した煙管の煙は次第に霧となって辺りを包み込んだ。
泣いてる姿を誰にも見られないように、と晋助の優しさだと思う。
.