第2章 変化
「、おかわり」
「あ、じゃ、私も」
差し出されるお茶碗が2つ。
一つは爪の伸びた手、一つは先生の手。
あれから、銀時はよく神社に入り浸るようになった。
言ってしまえばタダ飯喰らいだ。
『妖怪が神社に来るって......』
「人間臭い町よりマシだな」
『私も先生も人間ですけど』
「人間だけど"特殊"だろ」
私と銀時の言い合いに先生はただ静かに微笑みながらご飯を食べていた。
何も言わないのが不思議だったが、何も聞きはしなかった。
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「カァ、カァ!」
夕方、空には黒いカラスが数羽飛んでいた。
玄関前に出て見上げた夕日の空は真っ赤に燃え上がっている。
『今日はカラスが多いですね』
「そうですねぇ...」
『先生? どうかしましたか?』
「いえ...、今日は銀時は居ないのですか?」
銀時は朝のご飯を食べに来たきり、夕方まで姿を見ていない。
先生はどこかソワソワした様子だったが終いには部屋に入ってしまった。
『(カラス、か...)』
もう一度空を見上げた後、先生の後を追うように部屋へ入ろうとした時。
「お前が、"朱目の子"」
そんな声を聞いて、目の前が真っ暗になった。
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