第1章 はじまり
『ぅ、ゔ...痛い、いた、い』
身体中が痛かった。
動けないほどに。
何が起こったのか、思い出したくない。
町の人達は武器の様なものを持って迫ってきた。
「鬼は出て行け!!」
"鬼"はどっちだろうか。
分かったものではない。
『いたい、よ』
ずるずる、ずるずる…
這い蹲って"鬼"から逃げてきた。
「おい、」
足音が近付く音と知らない声が聞こえる。
でも逃げる力はもう残っていない。
意識がふわっと離れていく中、温かい体温が身体に伝わった。
...気がした。
『(あなたは、誰)』
助けてくれた、お礼を、いつか____
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