第3章 一方的な片想いだ
明日に控えたインターハイ東京都予選、私たち3人は無事ベンチ入りが決定した。居残り練習をそこそこに3人で帰路に着く。
「オレと真ちゃんは分かっけどよ、山田はなんでだよ。」
『ベンチでスコア書けって、中谷先生が。』
「書けんのかよー。」
絶対ミスするっしょ、見えるオレには見える、なんてお腹を抱えながらゲラゲラと高尾は笑う。
・・・腹立つな。
ムッとした顔に気付いた真ちゃんが口を開く。
「それくらいにしておけ、高尾。こいつは中学のときバスケ部なのだよ。」
高尾は私がバスケ部だったことを知らなかったのか、まじで?と開いた口が塞がらないとはこのことい言うのだな、と言うくらい口を開けたまま私を見る。
「シュート打てんの?」
あたりまえでしょ、私だって真ちゃんほどではないけど、シューターだったんだから、今度披露しようか?なんて話してるうちに、高尾と別れた。
高尾は私たちが見えなくなるまで、大きく手を振っていた。
『久しぶりだから緊張するな、試合。』
「オマエは出ないじゃないか。」
まぁ、そうなんだけどね、寝れるかなーと冗談ぽく真ちゃんに笑いかけると、ちょっと付き合え、と帰路とは別の方向へ歩き始めた。
まだいいよ、とも言っていないのに拒否権なんてないじゃないか!とも思ったが、今日の真ちゃんはいつもに増して機嫌が悪い。
ここは大人しく、ついて行くのが得策だ。