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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第46章 作成中







“「花子ちゃんに哀しい顔はさせちゃダメよ」”

“「きゅ、急になんだよ?」”

“「だってあなた花子ちゃんのことが好きなんでしょう?」”

“「ち、違うよ。」”

“「あら?顔にそう書いてあるわよ?」”



花子と真太郎とバスケを終えた後当時の“オレ”は、お母さんの部屋に直行するのがいつもの日課だった。この日、布団に横たわるお母さんはいつもよりも顔色が良いように見えた。



学校はどう?勉強はちゃんと頑張ってるの?
なんて話をしていたはずなのに、急に話題は花子へと変わった。



“「いつも言ってることだけれど、花子ちゃんは女の子なんだから、」”

“「分かってるよ。女の子だから優しく大切にするんだろう?」”

“「そうよ。男の子なんだからあなたが守ってあげなくちゃね。」”



花子は女の子だから優しくしなさいと、昔から口酸っぱく言われていたが、ここ最近お母さんは口を開けば花子ちゃん、花子ちゃんと前以上に花子の話が多かった。


あの頃は何度も同じことを言うお母さんが、少しだけ煩わしくて鬱陶しくて。思春期も相まってか、ついお母さんに冷たく言い放ちながらその部屋を飛び出してしまったのだ。



“「うるさいな、分かってるよ。」”


と。
それがお母さんと話した最期の言葉だった。



その日の夜中、血相を変えた執事の折原さんが“オレ”を起こした。後にも先にもあんなに慌てた顔をした折原さんを見たことはないと言っても過言ではないだろう。すぐにお母さんに何かあったんだと分かった。


そしてやはりその予想は的中し、お母さんの部屋に通された。夜中だと言うのに、駆けつけた医者や看護師、寝ているはずのメイドたちがバタバタと慌ただしくしていたのを、ただ呆然と眺めていた。


昼間見たお母さんとは、まるで別人で、血の通っていないような青白いその顔は少しだけ恐かった。めっきり細くなってしまったお母さんの腕を力いっぱい握り、叫ぶように声をかけるお父さんを見て、“あんなに大きな声が出せるのか”とどこか他人事のようにこの状況を見ていた。


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