第6章 電話の指示で...~二宮和也~
番号を打つ指先が、震えた。
緊張と好奇心で胸が張り裂けそうになる。
プルルルル、プルルルル・・・。
「もしもし。」
「・・・。」
嘘・・・。
「もしかして、みきちゃん?」
「・・・はい。」
聞き覚えのある声。
落ち着いていて、優しく包んでくれるような声。
「かけてきてくれたんだ。嬉しいなぁ。」
「・・・。」
「みきちゃん、こういうの初めてっていってたけど、どんなことするかわかってる?」
「・・・なんとなく。」
「そっか。そうだよね。一応、いつもはボクが女の子に指示するっていう形なんだけど。」
いつもは・・・って、和さん、こういうことしちゃう人なんだ・・・。
ブルーライトに照らされた薄暗い部屋の闇が、また一つ濃くなっていく。
胸がチクリと痛んだ。
「・・・。」
「みきちゃん?」
「あ、ごめんなさい。ぼーっとしちゃって・・・。」
「ぼーっとしちゃってたの?もう、みきちゃんったら、可愛いなぁ。」
でも・・・それでもいい。やっと彼と話せたんだから。
「あ・・・、ごめんなさい。」
「いいよ。それぐらいリラックスしてたほうが気持ちよくなれるから。」
私もこれから「いつも」の子の一人になるのだ。
薄っぺらい現実を目の前に、身体は熱を帯びた。
自分が堕ちていく感覚…。
「じゃあ、早速始めようか。」
「・・・はい。」
「みきちゃん、今はどこにいるの?」
「自分の部屋です。」
「実家?」
「いえ、一人暮らしです。」
「そっか。じゃあ、我慢しなくていいね。」
「・・・。」
「みきちゃんって、今、どんな格好してるの?」
セリフみたいな質問にも、正直に身体は解けていく。
単純だなぁ…。
「えっと・・・大きめのTシャツに下はショートパンツです。」
「そうなんだ。じゃあ、ショートパンツだけ脱いじゃおうか。」
「・・・はい。」