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忘却と恍惚のカクテル

第2章 全て忘れる為の一杯


「よ、と。」

VIPルームのソファは柔らかく、投げられたの身体を優しく受け止めた。
慌ててが身を起こそうとするより先に千歳の身体がのしかかり、そのまま唇を重ねてきた。

「んっ…んーっ!んんっ!」

頬を固定されて逃れられないはせめてもの抵抗に必死で千歳の胸を叩くが、大きな胸板はビクともしない。
固く閉じた唇をこじ開けようと大きな舌がぬるぬると這う。それでも必死で食いしばっていると、至近距離で千歳の目がふっと細められた。
次の瞬間。

「いっ…んぁっ」

がり、と唇に痛みが走り、思わず声を上げると同時に舌が入り込んできた。鉄の味が口内に広がり、痛みと不快感には顔を歪めた。

「んんっ、ふ…ゃ、んっ」

厚い舌がの舌を擦り、絡めとり、吸い上げる。酸素を求めて開いた口はそのまま千歳に食べられてしまい、息をすることもままならない。

くちゅくちゅと水音と、漏れでる自分の吐息しか聞こえない。酸欠の頭に益々酔いが回り、先程まで千歳の厚い胸板を押していた手は、縋るようにシャツを握るのが精一杯だった。
舌を噛もう、と思うのに、かき混ぜられる口内が信じられないほど気持ちよくて力が入らない。ただただ与えられる唾液を飲み込むのが精一杯だった。

「んぁ…は、はぁっ、も、やめて……」

口を離された頃にはもうの体は力を失い、泣きながらそう言うくらいしかできなかった。
そんなを見下ろしながら、千歳は嬉しそうに懐っこい笑顔を浮かべる。

「辞める訳なか。こっからが本番たい」

そう言ってシャツに伸ばされた手に、意味を察しては慌てて暴れ出す。

「や、やめてっ!離して、いやっ!」

ぶち、と嫌な音がしてシャツのボタンが弾けたかと思えば、そのまま無理矢理に開かれる。
露わになった肌に指を這わさて千歳は笑った。

「はー、白うて綺麗な肌やねぇ…美味そうばい♡」

うっとりと細められた目に身震いがする。このまま食われる、と言う恐怖に涙が溢れた。

「ねぇ、お願いっ!私彼氏がいるんです!こんなっ…」
「あぎゃん浮気する男必要なか」
「えっ…」

告げられた言葉に、の脳が一気に冷えた。
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