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溺愛執事の恋愛事情

第4章 お嬢様の憂鬱


「早く、帰って来てよ、ばか」



ぶかぶかのシャツで自分自身を抱き締めながら。
ハイセの匂いのするシャツに心地よさを、感じる。



「…………」




最後にしたの、いつだっけ。



パパが帰って来てからすれ違ってばっかで。



ハイセに、愛されてない。




『お嬢様』


「………」



目を瞑れば。
ハイセの声が聞こえる気がした。




だめ。
絶対、無理。



出来ない。



『皇、気持ち?』


「………っ」





おずおずと、シャツの上から胸へと手を伸ばす。
いつもハイセがしてるように。
先端へと、触れた。



『ほら、もうたってる』


「………っ」




だめ。
だめ、なのに。




頭まで布団を被れば、さらに色濃くなるハイセの匂い。




ハイセの長い指。
かかる吐息。
全部全部、再現される。



「んっ………っ」




気付けば、下着の中は湿っていて。


『変態』


ハイセに、そう、言われた気がした。




指。
ハイセの、指。
いつも中を……。



駄目なのに。
絶対駄目なのに。
どーしよう。
指、止まんない。



「……--っ」



やば。


イ………っ。








その、直後。




ガチャ、とドアがあいて。




「…………っ」




嘘。

ハイセ、帰って来たの?



どーしよう。
どーする?
寝たフリ。
いゃ、絶対無理があるし。
でもでもでも。




「………皇?」



バレてるし!


いや、ベッドに誰かいたらそれはあたししかいないたろーけど。
けど。


………もーこの際、寝たフリっきゃない。



「皇」



ギシ、とベッドを軋ませて。
ハイセが近くに腰掛けた、気配と。
頭を撫でる、ハイセのぬくもり。


と。




お酒とタバコの、匂い。



「……ふぅ」



小さくため息を吐き出した、あと。
またギシ、と、ベッドがきしんだ。


だめ。


行っちゃう。
せっかく会えたのに、またいなくなっちゃう。
やだ。
そんなの絶対やだ。



「……ハイセっ」



ガバッと勢い良く起き上がれば。


「………あれ」


「はい、お嬢様」



なぜだか目の前に、ニコニコ顔のハイセがいた。
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