第4章 お嬢様の憂鬱
素早い、とゆーよりも。
一言一句、先を見越して言ってるよね絶対。
ハイセの放った一言で、あたしがどんな反応するのかきっと絶対お見通しなんだ。
「何年お側にいるとお思いですか」
冷水を飲み込みながらハイセを睨めば、さも当然と言わんばかりな解答。
「なんでっ?」
「言ったでしょう?お嬢様の考えてることくらいわかります」
「ぅぅぅ……」
「下品な唸り声などあげないで下さいね。立場お分かりですか」
「………前言撤回」
「おや、どれですか?」
涼しい顔して朝食平らげてんじゃないわよっ。
「あぁそうそう、旦那様からの命令で、今日からお嬢様の送迎に付き添うことになりました。よろしくお願いしますね」
「ぇ」
「旦那様の手伝いで徹夜続きでしたから、たぶん旦那様なりの配慮だとは思いますが」
「今日から一緒にいられるのっっ!?」
思わず身を乗り出したあたしに、一瞬引き気味に。
ハイセがポカンと、間をあける。
あれ。
今乾いた空気が通った?
「………えぇ、ですから早く食べていただかないとこちらも困るのです。一緒にいられる時間が少なくなってしまいますから」
「食べる!食べるから!」
「………ゆっくり、急いで下さいね」
「うん!!」
運転手の人が体調良くなって。
ハイセはパパの仕事の手伝いで忙しくなって。
ここのところハイセといられる時間が取れなかったから。
ヤバい。
凄く嬉しい。
ハイセと一緒にいられるの?
やったぁ。
パパに感謝だよぉっっ。