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溺愛執事の恋愛事情

第3章 お嬢様、バイトする



『愛してます、お嬢様』
『ハイセ』



『皇』







んー、と。
キスを迫れば。
リアルに感じる肉厚な唇。
ついでに、とろりと流し込まれたのは甘い甘い唾液で。


「おはようございます、お嬢様」

トロン、と呆けたままに。
うっすらと両目を開けた。


「……あれ、ハイセ?」
「ええ」
「その服、なんで……、いつ着替えたの」
「………」


あれ。
さっきまでまだ全然、外は真っ暗だったはずなのに?


「お嬢様」
「ほぇ?」
「朝っぱらからどんな夢を見ていたのかは存じ上げませんが、いい加減現実に戻って頂けませんか」
「は?」

夢?


あれ。
にしてはだいぶ、リアルだったけど。


「なんですか?まだ見たりませんか夢。なんなら学校サボって夜まで一緒に見ますか、夢」
「!!」

覚めた。
一気に目、覚めたよ。


「……おはよう、ございました」
「ええおはようございます。そしてその変な日本語はいい加減お止め下さいませ」
「何?なんか今日はずいぶん、意地悪じゃない?」
「いつもと同じですよ、お嬢様」

「………」



いや。
絶対になんか不機嫌だ。


「ハイセ、話して」
「別に何もありません」
「………」


のわりにさっきから全然こっち見てくれないじゃないか。


「変な日本語ばかり使うから、追試でもあのような点をお取りになるのです」



うわー、耳が痛い。
聞くんじゃなかった。言うんじゃなかった。
忘れてた。
結局10番以内どころか2桁すらギリギリだったのだ。
それでも電話の向こうで確かに両親は喜んでくれたはずなのに、気付けば家庭教師という名のペナルティがついてきた。
なんで?
なんで?
怒りの矛先をうちの両親へと変えるなら、あたしも喜んで加勢するのに。
ハイセの矛先はたぶん、動くことはないようだ。



「ハイセが、変なことするのが悪いのよ」



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