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溺愛執事の恋愛事情

第7章 お嬢様の涙





「ぇ………」



「試してみる?」



な、に。




「はい、あーん」


ふかりがかりで体と顔を押さえつけられて。
簡単に開く唇。
すぐ近くで目の前の男の手から、白い錠剤が落とされようとしていた。


「やだ……っ、いや……っ」



暴れて顔を左右にふり抵抗、すれば。
すぐに男はその薬を自分の手中へと納めた。



「じゃ、さ、自分で足開いて?」
「ぇ」
「俺はどっちでもいーよ?ただあんたが壊れてくれればいいだけだし」
「……こわ、れる?」
「他の男に犯されたらさすがにおかしくなるでしょ。『和泉琲生』、あんたが唯一の弱点みたいだし」
「ぇ」


はい、せ?


「完璧すぎて隙がないんだよねー、あんたの恋人。いくら脱落させたくってもその材料すらないわけ」
「脱落、って」
「だからさ、考えたのよ俺も。和泉琲生の弱点であるあんたをぶっ壊せば、あいつも一緒にぶっ壊れてくれるかなーって」

「なに、言ってんの?」

脱落?話が見えない。
なんのことを言ってんの、この人。


「だから、足、開いて?」
「………っ」


両脇から押さえつけられて。
男3人。
力で敵うはずもなく。
唇をぐ、っと噛み締めた。



「俺さ、あんま気ィ長い方じゃないのよ」
「………」
「優しくしすぎた?薬使って開かせてもいーんだぜ?」

「………っ」



感情も何もない。
まるで『もの』を見る、蔑んだ視線。


怖い。


体の震えが止まらない。
張り付いた喉から、冷たい空気が通り抜けて行く。



「!?」


唇を噛んで沈黙、していれば。
先ほど同様、両脇にいる男たちの手が顔へと伸びてきた。


「待って……っ!!今……」


怖い。
目頭がツンとして、熱くなる。
頭もさっきからガンガンするし。
だけど。


唇を血が出るくらいに噛み締めて、ゆっくりと自分から足を開いた。


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