第5章 episode4
ヒーロー協会本部―…
「ダメ」
、と 背が低く、目つきの鋭い髪をカールさせた少女 のように見えるが立派な成人女性でありS級ヒーロー、タツマキが言い切った。
協会の幹部は冷や汗を流しながら、口の中でいや、しかし、とモゴモゴ言葉を転がしている。
「あの子は、あの子がB級の力しかないって言ってるから、B級にいればいいの。」
「だ、だが、彼女の能力を引き出せればヒーロー側の大きな支援に…」
「ダメって言ってるのが解らないの?」
タツマキがさらに機嫌悪そうにして殺気を放つ、
「っていうかねえ、あの子が、そこらの役立たずのヒーローより役に立つのは当然でしょ?
それでも、あの子が自分はB級の力しかないって言ってるんだから、それでいいのよ」
幹部の男よりも頭二つ以上小さいその体で、一歩足を踏み出せば男は一歩下がる。
「解った!―わかった、我々からは手を出さない。それでいいか」
「含みのある言い方だけど、まあ、いいでしょ。
業腹だけど、あの子にべったりの、A級ヒーローがいるみたいだし、」
まあ、期待してないけど。よっぽどな事にはならないでしょ、とタツマキはつぶやく。
催眠音声の力…
思い込みの力 というのは侮れないもので、成功を思い描き続ければ成功する、というレベルではなく、
脳の誤認だけで火傷し、失血し、ショック死し―…病気も治り、人間の限界を超える、とも、言う。
ことすれば、それは洗脳にも、
(メリィは過去の経験でその力を恐れて封印したにすぎない…
フブキみたいに危ない事に突っ込んでいかないならそれに越したことはないのよ)