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【ヒロアカ】華恋【轟焦凍】

第3章 夏幻[R18]




意識が浮上しておもむろに瞼を上げると
最初に目が映したのは見慣れない天井。
服もベッドも何一つ乱れたところはなくて
その場には私ただ一人。

もしかして
私は白昼夢を見ていたのかもしれない。

食い逃げの人質にされて
"個性"を使うけど失敗して

突然現れた幼馴染と綺麗な人に
救けられて

その後にキスを交わして
身体を重ねるなんて
都合のいい夢。

そう思わずにはいられない位
まるで幻想のような一時だった。


「身体、平気か?」


どこからともなく聞こえた声に
視線を巡らせると

扉から現れたのは
白昼夢の中で見た幼馴染の姿。


「え…?……っ」


下腹部に感じる違和感に
あれは現実だったのだと
意識が一気に覚醒をした。


「起きた時に飲み物があった方がいいんじゃねえかと思って」


こちらに差し出されたペットボトルに
喉が渇きを訴えているのに気付いて
有り難く頂戴する為に半身を起こし
そのペットボトルへと手を伸ばした。


「なに、これ…?」


伸ばした手の薬指に
見覚えのないものがあって

思わず目的のものを取る前に
引っ込めて確認すれば

右手の薬指にはめられている
ピンクゴールドの指輪。


「こんなの、してたっけ…?」


アクセサリーとして
指輪を持ってはいるけど
記憶の限りでは
付けた覚えも買った覚えもない。


「」


指輪に気を取られている間に
ベッドへと腰掛けてきた幼馴染が
私を呼ぶ声に顔を上げると

柔らかく唇が触れて
間もなく離れて

至近距離で視線が合わせられた。


「好きだ」


そう言えば、そんな言葉を
薄れる意識の中で
聞いた気がする。


「本当は、雄英卒業するまで言わねぇつもりだった。雄英に入学してから敵に狙われて、去年の合宿ん時にはクラスの奴を目の前で連れて行かれちまったりもした。その時に思ったんだ。もしに何かあった時、今の俺じゃ救けられねぇかもしれねぇって……だから、を守れるだけの力をつけるまでは…卒業するまではそれだけに集中しようとした」


普段こんなに喋るタイプじゃないから。
次に続く言葉があるなら
何も言わずに聞きたいと
静かにその時を待った。




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