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【ヒロアカ】華恋【轟焦凍】

第3章 夏幻[R18]




あの日から連日
欲の赴くままに
私達は身体を重ねていた。

その度に姿を現わす幼馴染の男の顔が
鼓動を高鳴らせて
じわじわと私の心が囚われていくのには
終ぞ気付くことなく。

その関係も長くは続かなかった。

夏休み中旬に差し掛かる前
1週間の林間合宿へと出向いて
そこで起きた事件をきっかけに
雄英高校が全寮制になり。

合宿前日に交わした行為を最後に
幼馴染は忽然と
私の前から姿を消した。

合宿先で敵に襲われたと聞いて
心配しなかったわけじゃない。
家に戻ったと聞いて
すぐに駆けつけたけど
幼馴染の部屋に本人の姿はなく
夜になっても帰ってくることはなかった。

それからすれ違いばかりを繰り返し
一度も姿を見ることなく
入寮当日を迎えていた。

連絡を取ることは出来たし
入寮のことだって本人から聞いた。

それでも唐突に訪れた
「会えない」という事実は
私に違和感を持たせるには充分な出来事で

頭の中では幼馴染の事ばかりが巡る。

付き合ってるわけでも
想い合ってるわけでもなく
ただ、欲望のままに求め合っただけ。

そんな関係に疑問すら抱かなかった。
幼い頃から家族以外では
誰よりも近くにいるのが当たり前で
何をする時も一緒だったから。
今回もその延長線上にあるものだと
思っていたのかもしれない。

物心ついた頃には隣にいて
少し複雑な家庭環境も
左目にある火傷痕も
お父さんのことも
お母さんのことも
ヒーローになりたいことも
全部
幼馴染と過ごしてきた中にある一部で

知ってるのが当たり前だった。
だからと言って私が何かするわけでもなく
ただ隣にいただけ。

そんな中
雄英高校の体育祭で
幼馴染の転機が訪れた。
もちろん中継を見ていたし
左のことも知っていたから
何も感じなかったわけじゃない。
それでも私は変わらず隣にいるだけだった。

変わっていく幼馴染の隣で
変わることのない自分に
見ないフリを続けていた。

違和感を覚えながらも
流れのままに日々を過ごし

そうして気付けば一年が経ち
連絡を取り合うことも殆どなくなっていた。

















重ねた肌の熱が
繰り返し呼び起こされては
忘れられないその熱が
身を焦がしていくのに
見ないフリを続けていた。


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