• テキストサイズ

【ヒロアカ】華恋【轟焦凍】

第3章 夏幻[R18]




唇に当たる柔らかな感触。
初めて経験する行為に
終わり時がわからない。

それでも嫌な感じはしなくて
寧ろ心地よさを感じて
自然と瞳を閉じていた。

視覚を失ったことで
触覚はより鮮明になって。

薄く触れているだけだったものが
意思を持ち始め。

知識だけだったものが
経験に変わって。

浅い口付けが
深い口付けに。

興味というのは時に
理性を忘れさせしまうことを
私は知らなかった。


「俺はこの先に興味があるんだが…」


その言葉が何を意味するのか。
崩れた体勢は重力に引かれて
瞼を上げた眼に映るのは
和室特有の木板貼りの天井と
私の上に跨り見下ろす幼馴染。
この状況でわからない訳がなかった。


「私が、相手になってあげる」


わかった上で
さっき投げかけられた言葉をそっくりに
お返しした。

身体が感じたことのない熱を灯している。
きっと夏の暑さのせいだ。

だから、今私の首元に触れてる唇が
それ以上に熱く感じるのも
きっと夏の暑さのせい。


「っん…」


鈍い痛みに小さく声が出ていた。
その上を湿ったものが這い上がって


「の味だ」


辿り着いた先で鼓膜を揺らしたのは
すっかり声変わりしてしまった低音。

私に味なんてない。
あるとすればそれはただの汗だ。

そう悪態をつきながらも
少し前までの声音からは想像もつかない低音に
心臓が高鳴った。

互いに手探りで
お世辞にもスムーズとは言えないけど。
一枚、また一枚と
素肌を露わにされて
素肌を露わにして。

一糸纏わぬ姿が
互いの眼前へと晒されていた。


「流石に、鍛えてるだけあるね」


プールの授業で目にした男子の姿と比べると
月とスッポン。
その逞しさは見惚れてしまう程で
こういうのを肉体美というのかと思った。


「は簡単に折れちまいそうだ」


腰へと伸ばされた手は
壊れ物を扱うように触れてきて
擽ったさを感じながらも
そのまま肌の上を滑る動きに
条件反射で身体が跳ねた。


「女の身体ってすげぇ柔らかいんだな」


決して厭らしい手付きではなく
興味から触れてくるのだとわかっていても
初めて肌を異性に許している事実に
意識せずにはいられなくて
身体は微動にして跳ね上がり
甘い声が僅かながら漏れ始めていた。


/ 29ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp